修繕積立金は安ければいいというものではありません

マンションを検討する上で気になるのが管理費と修繕積立金です。
住宅ローンの返済のほかに毎月かかる経費なので、管理費・修繕積立金が安く設定された物件はお得に見えてしまいますが、実はここに大きな罠があります。
マンションは共有物なので、管理費・修繕積立金には適正な価格があります。
今回はマンションの修繕積立金についてご説明いたします。

■新築当初は修繕積立金を安く設定しているマンションが多いです

マンションには専有部と共用部という区分があります。
共用部は他の住人の合意が得られなければ改修工事を行うことができません。
これではマンションの維持管理がままならないので、一般的にマンションは、長期修繕計画を立案し計画に則ってメンテナンスを行います。
このメンテナンスに必要な費用を捻出するために修繕積立金が存在します。
修繕積立金はマンションの性能を維持保全するための生命線です。

しかし、管理費や修繕積立金は住人にとって毎月のコストとなるため安いに越したことはない、と判断してしまいがちです。
事実、新築分譲時にマンションのを販売しやすくするために、修繕積立金を低く設定するデベロッパーが多く存在します。
こういったマンションを購入してしまうと、買ってすぐに修繕積立金が値上がりしてしまったり、最悪の場合、大規模修繕に必要な費用が捻出できず、修繕工事が実施できない事態に陥ることも想定されます。
住宅金融支援機構によると、管理組合向けの大規模修繕用融資の件数が大幅に増加しているそうです。(2011年から2014年で1.5倍に増加)

■旧耐震マンションは耐震改修どころか耐震診断すら実施できません

マンションの耐震性は共用部の問題なので、耐震改修工事を行うためには住人の合意が必要です。
マンションの耐震化は長期修繕計画に含まれる内容ではないため、修繕積立金からねん出することが難しく、管理組合で借り入れをするか、住人から費用を徴収しなければなりません。
改修費用もさることながら耐震診断費用も非常に高額のため、マンションの耐震化を進めたくても住人の合意が得られないケースが多いようです。
耐震性に不安があっても耐震化が実現しにくいことから、旧耐震マンションを安易に選択することは避けた方が良いと思います。